L-アスパラギナーゼ

概要・作用機序

  • 英名:L-asparaginase
  • 略語:L-asp, L
  • 抗腫瘍薬の一種であり、アスパラギンの分解酵素
  • 腫瘍細胞に必要なアスパラギンの枯渇によるタンパク質合成阻害を生じさせ、抗腫瘍効果を発揮する。正常細胞はアスパラギン合成能を有するため枯渇を免れると考えられている。最大の効果は細胞分裂G1期に認められる。
  • リンパ腫化学療法や、レスキュープロトコールに使用される。

カテゴリー


主に使用される疾病


主な薬品名・成分量

  • ロイナーゼ

投与量・投与目的

  • リンパ腫
    • 犬、猫:400IU/kg, i.m. or s.c.
    • 犬、猫:10000IU/m2, i.m. or s.c.
※投与30分~60分前にデキサメサゾン0.5mg/kg i.v.およびジフェンヒドラミン1-2mg/kg i.m.

副作用

  • アナフィラキシー反応(2回目以降)
  • 過敏反応(全身の痒み、口唇・四肢末端の腫脹)
  • 急性膵炎
  • 注射部位の疼痛
  • 凝固障害
  • 骨髄抑制(ビンクリスチンとの併用時)
  • 肝酵素値の上昇

薬物相互作用


主な注意事項

  • アナフィラキシー予防のため、抗ヒスタミン薬ステロイド薬を前投与する必要がある。
  • 生理食塩水で溶解すると白濁するため、注射用水を使用する。
  • 膵炎のある動物への投与を避ける。

関連文献(参考文献

  • Combination Chemotherapy with Continuous l-Asparaginase, Lomustine, and Prednisone for Relapsed Canine Lymphoma., J Vet Intern Med. 2009 Aug 11. , Saba CF, Hafeman SD, Vail DM, Thamm DH.
  • Combination chemotherapy with L-asparaginase, lomustine, and prednisone for relapsed or refractory canine lymphoma., J Vet Intern Med. 2007 Jan-Feb;21(1):127-32. , Saba CF, Thamm DH, Vail DM.
  • Influence of asparaginase on a combination chemotherapy protocol for canine multicentric lymphoma., J Am Anim Hosp Assoc. 2005 Jul-Aug;41(4):221-6. , Jeffreys AB, Knapp DW, Carlton WW, Thomas RM, Bonney PL, Degortari A, Lucroy MD.
  • Does L-Asparaginase Influence Efficacy or Toxicity When Added to a Standard CHOP Protocol for Dogs with Lymphoma?, J Vet Intern Med 19[5]:732-736 Sep-Oct'05 Retrospective Study Refs, Valerie S. MacDonald, Douglas H. Thamm, Ilene D. Kurzman, Michelle M. Turek, and David M. Vail
  • Polyethylene glycol-L-asparaginase versus native L-asparaginase in canine non-Hodgkin's lymphoma., Teske E, Rutteman GR, van Heerde P, Misdorp W., Eur J Cancer. 1990;26(8):891-5.

関連用語



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  • 最終更新:2011-09-21 20:09:22

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