高カリウム血症

概説

  • 英名・略語:hyperkalemic
  • 何らかの原因により、血中カリウム濃度が異常に上昇してしまった状態を高カリウム血症という。一般的に5.5mEq/L以上の血清カリウム濃度になると、高カリウム血症と診断される。
  • 血中カリウムが上昇する原因として、細胞内へのカリウム取り込み不全、急激な細胞の破壊による細胞内カリウムの漏出、泌尿器系からのカリウム排泄不全があげられる。
  • 血中カリウムは筋収縮にとって非常に重要な働きをするため、高カリウム血症は時に命にかかわる不整脈を起こすことがある。特に、カリウム値が8.5mEq/L以上になると心停止を引き起こす可能性がある。
  • 治療法として、生理食塩水の輸液、高濃度グルコースの投与、インスリン製剤の投与などを行う。

原因・要因

<顕著な上昇>
  • 急性腎不全(乏尿期、無尿期)
  • 糖尿病性ケトアシドーシス
  • 副腎皮質機能低下症
  • 尿路の破損
  • 尿路閉塞
  • 腫瘍融解症候群
  • 重度外傷
  • 高体温

<軽度上昇>
  • アシドーシス
  • 慢性腎不全
  • 脱水
  • 胸腔穿刺の繰り返し(乳び胸)
  • 消化管穿孔
  • 再灌流障害
  • 鞭虫症

<人為的な上昇>

病態

  • 軽度から中程度の上昇ではほとんどが無症状である
  • カリウム値上昇すると、骨格筋の運動性が低下し、元気消失や起立不能などの症状が現れるようになる。
    • さらにカリウム値が上昇すると、不整脈が現れ、心停止する。

症状・徴候


臨床検査

<血液検査>
  • カリウム値:5.5mEq/L以上

<心電図>
  • カリウム値:6.5mEq/L以下
    • 徐脈、T波の増高や先鋭化が認められるようになる
  • カリウム値:6.6~7.5mEq/L
    • R波振幅減少やQRS波群の延長がみられるようになる
  • カリウム値:7.0~8.5mEq/L
    • RR間隔の延長がみられるようになる
  • カリウム値:8.5mEq/L以上
    • P波の消失、ST上昇などがみられるようになり、完全房室ブロック、心室性不整脈が現れ、心停止する

診断

  • 血液検査にて高カリウム血症を診断

治療

<生理食塩水による輸液>
  • 生理食塩水にはカリウムが含まれていないため、積極的な生理食塩水の輸液を行うことでカリウムを低下させることができる。軽度から中程度の高カリウム血症であれば生理食塩水の輸液のみで改善する。

<グルコース製剤、インスリン製剤の投与>
  • インスリンは細胞膜上にあるグルコース、カリウム共輸送体の活動を亢進させるため、血管内から細胞内へのカリウム移行が促進される。
  • グルコース製剤のみの投与でも血中カリウム濃度を低下させることができるが、インスリン製剤と併用することでより速やかにカリウム濃度を下げることができる。
  • インスリン製剤を使用する場合には低血糖に注意する必要がある。
  • 糖尿病性ケトアシドーシスでは必須の治療となる。

<原因療法>
  • 上記治療はあくまで対症療法であり、原因を治療するまでの一時しのぎに過ぎない。
  • 尿路閉塞や糖尿病のような疾患では原因を治療しつつ、カリウム濃度を下げる治療を平行して行う必要がある。

予後

  • 原因による。
  • 速やかなカリウム低下療法が行われ、原因が解消されれば予後は良好。

合併症


関連薬


予防

  • 原因の予防

カテゴリー


関連用語


関連文献(参考文献



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  • 最終更新:2012-07-12 15:54:32

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