脱毛症X

概説

  • 英名・略語:Alopecia X
  • 別名:成長ホルモン反応性皮膚炎、偽クッシング症候群、去勢反応性皮膚症、成犬発症性低ソマトトロピン症、副腎皮質過形成症候群など
  • 性ホルモンが関与していると考えられている様々な脱毛症の総称であり、はっきりとした原因や治療法は確立されていない。そのため、原因がはっきりしないという意味から脱毛症Xと呼ばれることが多い。
  • 左右対称性の痒みを伴わない脱毛が特徴であり、ポメラニアンに圧倒的に多い皮膚疾患である。

原因・要因

  • 原因不明
  • 年齢:1~2歳での発症が多い
  • 雄の方が発症率が高い(去勢、避妊手術後でも発生)
  • 発生犬種:ポメラニアン(圧倒的に多い)、アラスカン・マラミュート、チャウ・チャウ、キースホンド、シベリアン・ハスキー、ミニチュア・プードルなど

症状・病態

  • 痒みなどの明らかな臨床症状や感染徴候、代謝疾患などがない体幹部の脱毛が最も特徴的な所見である。
  • 脱毛はほとんどが殿部、尾部などから発生し、頭部および四肢以外の部分に脱毛が広がっていく特徴がある。
  • 肌は乾燥傾向にあり、面靤も認められることが多い。

臨床検査


治療

  • 原因が特定できていないため、はっきりとした治療方法も確立されていない。しかし、いくつかの治療を行うことで、症状の改善がみられることがある。また、発毛が認められても、数年後に再発する可能性もある。

<去勢手術>
  • 未去勢の雄では去勢手術を行うことで発毛が見られることがある。一般的に2~4ヶ月で発毛が見られる。

オサテロンの投与>
  • 前立腺肥大治療薬である酢酸オサテロンを投与すると、症状が改善するとする報告がある。0.25-0.5mg/kg/sidにて、1週間投与し、数ヵ月後の発毛を観察する。

メラトニンの投与>
  • 換毛や毛色の変化に関与すると考えられているメラトニンを投与することで、発毛が促されることがある。3-6mg/head/sid-bidにて、数ヶ月間投与すし、発毛を観察する。

<L-システイン+トコフェロールの投与>
  • L-システインやトコフェロールを長期投与することで症状が改善することがある。

<R&U>
  • Rhizopus麹生理活性物質を含むサプリメントであるR&Uを長期投与することで、発毛が改善するとの報告がある。

<成長ホルモンの投与>
  • 成長ホルモンを投与すると本症例の改善が見られるという報告がある。しかし、成長ホルモンによる副作用(アナフィラキシーや糖尿病)などを考えるとあまり推奨されない。

トリロスタンの投与>
  • 脱毛症Xに対してトリロスタン投与の効果が報告されている。成長ホルモンと同様、副作用の観点から慎重な投与が必要である。

関連薬

  • オサテロン
  • ニコチン酸トコフェロール
  • メラトニン
  • L-システイン
  • トリロスタン

予防

  • 予防法は確立されていない。
  • 治療が奏功しても数年後に再発することもある。

カテゴリー


関連用語


関連文献(参考文献

  • 脱毛症Xの犬におけるメラトニンおよびミトタン治療前、治療中の副腎ステロイドホルモン濃度
    Adrenal steroid hormone concentrations in dogs with hair cycle arrest (Alopecia X) before and during treatment with melatonin and mitotane., Vet Dermatol. 2004 Oct;15(5):278-84., Frank LA, Hnilica KA, Oliver JW.
  • Adrenal steroid hormone concentrations in dogs with hair cycle arrest (Alopecia X) before and during treatment with melatonin and mitotane., Vet Dermatol. 2004 Oct;15(5):278-84., Frank LA, Hnilica KA, Oliver JW.
  • Sex Hormone Concentrations in Dogs with Alopecia , Sm Anim Clin Endocrinol 14[1]:37-38 Jul'04 Retrospective Study 0 Refs, C. B. Chastain, DVM, MS, Dip ACVIM (Internal Medicine) Professor, Companion Animal Medicine and David Panciera, DVM, MS, Dip ACVIM (Internal Medicine) Professor, Small Animal Medicine , Frank LA, Hnilica KA, Rohrbach BW, et al.; Vet Dermatol 2003;14:91-97


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  • 最終更新:2011-12-14 18:51:57

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