炎症性腸疾患

概説

  • 英名・略語:Inflammatory Bowel Disease, IBD
  • 胃、小腸、および大腸に炎症細胞が浸潤し、慢性の消化器症状を生じる原因不明の症候群。2010年現在、診断基準の確立が求められている。
  • 病態は不明であるが、3週間以上続く慢性消化器症状、食事・抗菌薬に反応しない、病理学的に炎症所見がある、明らかな原因が認められない、および免疫抑制療法に反応するという条件がある場合、炎症性腸疾患を疑う。最終的な診断基準は確立されていないため、以上の所見が整ったときに暫定的に炎症性腸疾患として診断し、治療を行う。
  • ステロイド反応性腸症と同じまたは類似の疾患であると考えられるため、慢性腸症に分類されることもある。また、低アルブミン血症になることが多いため、蛋白漏出性腸症にも分類される。

治療

<食餌療法>
  • 低アレルギー性、消化性がよい、中等度に脂肪が制限されている、中等度の発酵性線維を有するなどの条件の整ったフードが推奨されているが、「このフードが最も効果的である」というものは今のところ存在しない。数週間単位で推奨されるフードを試しながら、最適のものを見つけ出す必要がある。

<抗菌薬>
  • 炎症性腸疾患の主な原因が細菌感染ではないと考えられること、および腸管内には必要な常在菌が多数存在することなどから、抗菌薬は不要であるとも考えられている。しかし、炎症性腸疾患が腸管内の何らかの抗原に対する免疫過剰反応であると考えれば、その抗原として細菌を疑うのはごく自然な考え方であるともいえる。
  • 事実、他の治療と併用する形で抗菌薬を投与すると、症状の緩和がみられたり、免疫抑制薬の減量ができるケースが存在するため、使用する根拠ともなっている。
  • 使用される抗菌薬は、メトロニダゾール、オキシテトラサイクリン、タイロシン、アンピシリンドキシサイクリンなどが用いられることが多い。

<免疫抑制療法>

<ビタミンの補給>
  • 慢性小腸性疾患では、コバラミンの吸収不良が生じると考えられており、補給されることがある。

<整腸薬の投与>
  • 各種整腸剤を投与することがある。

関連薬


分類


関連用語


関連文献

  • Decreased immunoglobulin a concentrations in feces, duodenum, and peripheral blood mononuclear cells of dogs with inflammatory bowel disease. , J Vet Intern Med. 2013 Jan;27(1):47-55. doi: 10.1111/jvim.12023. Epub 2012 Dec 6., Maeda S, Ohno K, Uchida K, Nakashima K, Fukushima K, Tsukamoto A, Nakajima M, Fujino Y, Tsujimoto H.
  • Inflammatory bowel disease in veterinary medicine., Front Biosci (Elite Ed). January 2012;4(0):1404-19., Albert E Jergens; Kenneth W Simpson
  • 炎症性腸疾患における糞便中のマーカーアップデート
    Update of fecal markers of inflammation in inflammatory bowel disease., J Gastroenterol Hepatol. 2011 Oct;26(10):1493-9. doi: 10.1111/j.1440-1746.2011.06846.x., Judd TA, Day AS, Lemberg DA, Turner D, Leach ST.
  • 低アルブミン血症を伴う犬の炎症性腸疾患における低ビタミンD血症
    Hypovitaminosis D in dogs with inflammatory bowel disease and hypoalbuminaemia. , J Small Anim Pract. August 2011;52(8):411-418. , A G Gow; R Else; H Evans; J L Berry; M E Herrtage; R J Mellanby
  • 犬における炎症性腸疾患:ヒトとの相違
    Inflammatory bowel disease in the dog: Differences and similarities with humans, World J Gastroenterol. 2010 March 7; 16(9): 1050?1056., Matteo Cerquetella, Andrea Spaterna, Fulvio Laus, Beniamino Tesei, Giacomo Rossi, Elisabetta Antonelli, Vincenzo Villanacci, and Gabrio Bassotti
  • Efficacy of a commercial hydrolysate diet in eight cats suffering from inflammatory bowel disease or adverse reaction to food. , Tijdschr Diergeneeskd. September 2010;135(18):668-72. , Paul J J Mandigers; Vincent Biourge; Alexander J German


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  • 最終更新:2014-05-13 23:11:57

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