歯肉口内炎

概説

  • 英名・略語:Gingivostomatitis
  • 別名:難治性口内炎、慢性口内炎、リンパ球形質細胞性歯肉口内炎、壊死性口内炎、口内炎、歯肉炎、口峡炎、慢性潰瘍性終焉口内炎、咽頭口内炎、レッドマウス、口腔後部粘膜炎、歯肉咽頭炎など
  • 歯肉口内炎とは、歯肉や口腔内のその他の部位に炎症反応を生じ、疼痛などの刺激により、食欲不振、流涎、口臭などの症状を示すようになった疾患の総称である。広義には炎症を示すあらゆる疾患が含まれるが、このサイトでは猫に特異的に発生する難治性の歯肉口内炎について解説する。
  • 1次診療現場では比較的出会う機会が多いが、はっきりとした原因、治療法が確立されていないのが現状である。おそらく猫全体の数%が本疾患に罹患していると考えられている。

原因・要因

<歯垢、歯石の付着 歯周病との関連性>
  • 歯垢や歯石の付着または歯周病の程度が高くなるにつれて、発症率が上昇するという報告もあるが、それらの相関性は全くないという報告もある。
  • また、口腔内細菌に対する抗菌薬の投与や抜歯や歯石除去などの歯科処置を行うと、症状の改善がみられることがある。
  • しかし、肉眼的に歯垢や歯石を認めない猫でも発生が見られるため、これだけが原因で発生しているとは考えられない。

ウイルスとの関連性>
  • 猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルスによって、口腔内細菌およびウイルスの異常増殖を招き、歯肉口内炎が発生しているとも考えられている。事実、猫の歯肉口内炎ではFIV感染率が50~80%との報告もある。
  • また、口腔内で反復感染すると考えられる猫カリシウイルスによって、歯肉口内炎が発生しているとの報告もある。
  • さらに猫ヘルペスウイルスや猫伝染性腹膜炎ウイルスとの混合感染によって重篤化することがあるとの報告もある。
  • いずれの場合もウイルスに全く感染していない個体でも歯肉口内炎の発症が確認されているため、ウイルス感染が全ての原因ではないと考えれている。

<品種との関連性>
  • 純血種に比較的多いとの報告があるが、はっきりとはしていない。
  • 好発品種として、シャム、アビシニアン、ペルシャ、ヒマラヤン、バーミーズ、ソマリなどが報告されている。

<食事との関連性>
  • ウェットフードを食べている猫の方がドライフードを食べている猫よりも罹患率が高いとの報告がある。

<その他>
  • 尿毒症、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、天疱瘡、紅斑性狼瘡、肝機能障害などによって、口腔内潰瘍ができた結果、歯肉口内炎を発症する可能性がある。
  • エッセンシャルオイルなどの有毒物質の慢性的摂取によって歯肉口内炎を発症する可能性がある。

症状・病態

  • 疼痛
  • 流涎
  • 口臭
  • 嚥下困難
  • 食欲低下、食欲はあるが食べられない
  • 口腔内出血
  • 体重減少
  • 毛づくろいの減少
  • 口周りの汚れ
  • 前肢手根関節部の汚れ

臨床検査


治療

  • 歯肉口内炎は原因が確定していないため、治療方法も確立されていない。そのため、様々な方法が報告、提案されている。

<歯石除去>
  • 口腔内の歯石除去によって、口腔内細菌の清浄化を行うことで、改善するの報告がある。

抗菌薬の投与>

ステロイド薬の投与>
  • 下記ステロイド薬によって、炎症反応を抑える治療法が報告されている。
  • プレドニゾロン1.0-2.0mg/kg/bid
  • トリアムシノロン2-5mg/kg, 2-3週間ごと
  • デキサメサゾン
  • 酢酸メチルプレドニゾロン

  • 非ステロイド系消炎鎮痛薬を投与することで、炎症反応の抑制および症状の緩和が報告されている。

免疫抑制薬の投与>

<免疫調節療法>
  • 下記免疫調節作用のある薬を使用することで、歯肉口内炎の症状を緩和するとの報告がある。
  • インターフェロンω
  • 魚油
  • 乳酸菌製剤
  • ラクトフェリン
  • レバミゾール
  • βグルカン

<低アレルギー食による治療>
  • 低アレルギー食による処方食を食べることで改善される可能性がある。

<炭酸ガスレーザーによる治療>
  • 口腔内の炎症部位をレーザーによって蒸散させる方法。
  • 抜歯やシクロスポリンとの併用でより有効であると報告されている。

<金塩療法>
  • 金チオグルコースを投与すると改善するとの報告がある。

<睡眠薬の投与>
  • サリドマイド投与の報告がある。

<口腔内の消毒>

<抜歯>
  • 炎症が激しい歯の抜歯もしくは全臼歯抜歯、全額抜歯を行うと症状が改善されるとの報告がある。

<その他>
  • 凍結外科療法
  • 放射線療法

関連薬


予防

  • 現在、確実な予防法は確立されていないが、以下のことに注意することで予防できる可能性がある。
  • 食事をドライフードに変更する。
  • ウイルス感染を予防するため、外へ出さない。
  • デンタルケアを行う。
  • ストレスのかからない環境を心がける

カテゴリー


関連用語


関連文献(参考文献



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  • 最終更新:2014-05-13 23:19:24

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