偽甲状腺機能低下症
概説
- 英名・略語:Euthyroid sick syndrome
- 別名:病的正常甲状腺症候群
- 様々な全身性疾患や、薬物の投薬によって、甲状腺機能が低下している状態を偽甲状腺機能低下症という。
- 甲状腺ホルモンの低下だけではなく、末梢でのT4代謝なども低下するため、甲状腺機能低下症と非常に類似した症状を示す。真の甲状腺機能低下症との鑑別が困難であるため、慎重に診断を行う必要がある。
- 通常、この疾病に対しては甲状腺ホルモンの補充を行う必要がなく、ホルモン補充によって有害となる場合も考えられる。
原因・要因
- 甲状腺ホルモンの分泌や代謝は薬物や併発疾患によって低下する。特に併発疾患においては、病気の間の細胞代謝を減らすための体を休める生理的反応であると考えられている。
<薬物性>
- フェノバルビタール
- グルココルチコイド(ステロイド薬)
- 非ステロイド系消炎鎮痛薬
- サルファ剤
- フロセミド
- プロプラノロール
- 臭化カリウム
- プロゲステロン
- クロミプラミン
- アミオダロン
<併発疾患>
<その他>
- 全身麻酔を必要とする術後
- 激しい運動
病態
- 併発疾患による
症状・徴候
- 併発疾患による
臨床検査
- 甲状腺機能低下症を参照
診断
- 投薬中の薬物を休薬し、併発疾患を治療したのち、甲状腺機能低下症の検査を行う。
- 難治性の基礎疾患を持つ犬や皮膚疾患を伴う犬では、鑑別が非常に困難となる。
治療
- 併発疾患の治療を行えば、甲状腺機能は正常に回復する。
- 甲状腺ホルモン濃度は低下しているが、甲状腺ホルモンを補充しても有益ではなく、有害となることもある。
予後
- 併発疾患が治療されれば予後良好
関連薬
カテゴリー
関連用語
関連文献(参考文献)
- 甲状腺機能低下症の犬の甲状腺ホルモンモニタリングにおける抗炎症量プレドニゾロンの影響
Effect of an anti-inflammatory dose of prednisone on thyroid hormone monitoring in hypothyroid dogs. , Vet Dermatol. April 2011;22(2):202-5. , Sarah H O'Neill; Linda A Frank; Lisa M Reynolds - 若い健康なグレーハウンドにおける訓練前の甲状腺ホルモン濃度
Thyroid hormone concentrations in young, healthy, pretraining greyhounds, Vet Rec. November 2007;161(18):616-9., R E Shiel, S F Brennan, A J Omodo-Eluk, C T Mooney - 重症疾患における甲状腺の形態および機能
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