低カルシウム血症

概説

  • 英名・略語:hypocalcemia
  • カルシウムは生体内において、筋収縮、神経興奮、血液凝固、酵素活性ホルモン分泌、細胞接着、細胞内セカンドメッセンジャーとして、重要な働きを持っている。
  • 血中カルシウム濃度が低下すると、これらの機構に異常をきたし、食欲不振、興奮、異常な筋収縮、痙攣発作などを生じる。カルシウム濃度の低下が進行すると、意識消失し、死亡する。

原因・要因

  • 症状が現れるほどの低カルシウム血症を引き起こす可能性が高いもの。
    • 上皮小体機能低下症
    • 子癇(産褥テタニー)
    • 医原性(リンの投与、クエン酸の投与)
  • その他の低カルシウム血症を引き起こす原因
    • エチレングリコール中毒
    • 低マグネシウム血症
    • 急性膵炎
    • 急性外傷
    • 急性腎不全
    • 慢性腎不全
    • フロセミドによる治療
    • 低ビタミンD血症
    • 肝不全
    • 敗血症
    • 栄養性二次性上皮小体機能亢進症(続発性上皮小体機能亢進症)
    • 吸収不良
    • 低タンパク血症(低アルブミン血症
    • 急性高リン血症
    • 腫瘍溶解症候群
    • 検査ミス(クエン酸、EDTA使用など)

症状・病態

  • 意識レベルの低下
  • 興奮
  • 筋肉の異常(運動失調、限局性の筋収縮)
  • 顔面のこすりつけ
  • パンティング
  • 光や音に対する過敏反応
  • 腹部疼痛
  • 振戦
  • 痙攣発作
  • 死亡

臨床検査

  • 低体温
  • 心電図検査
  • 血液検査
    • カルシウム濃度
      • カルシウム補正を行ったうえで評価する
      • 7.0-7.5mg/dl以下になると食欲不振、虚弱、振戦、運動失調などの症状が発生する。
      • 6mg/dl未満になると、テタニー(痙攣発作)や意識消失などの症状が現れる。
      • 4mg/dl以下になると、死亡する可能性が高い。

治療

<カルシウムの静脈投与>
  • 心電図を装着する。
  • 8.5%グルコン酸カルシウム(0.5-1.5ml/kg)をゆっくり投与する。
  • 徐脈、不整脈が現われたら、投与を中止する。

<カルシウムの皮下投与>
  • 8.5%グルコン酸カルシウム(1.0ml/kg)を生理食塩水で3倍希釈し、皮下投与する。
  • テタニーや異常興奮によって、血管確保が難しい場合に皮下投与を検討する。

<抗痙攣療法>
  • 痙攣が持続する場合には、ジアゼパムやペントバルビタールを用いて、抗痙攣療法を行う必要がある。

<カルシウムの経口投与>
  • 低カルシウム血症の症状が改善したら、経口投与にて維持療法を行う。
  • αカルシドール、カルシトリオール、沈降炭酸カルシウムなどの経口投与を行い、治療する。

<原因療法>
  • 低カルシウム血症が改善したら、原因を特定し、治療を行う必要がある。

関連薬

  • グルコン酸カルシウム
  • αカルシドール
  • カルシトリオール
  • 沈降炭酸カルシウム
  • ジアゼパム
  • ペントバルビタール

予防


カテゴリー


関連用語


関連文献(参考文献



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  • 最終更新:2012-02-02 19:12:31

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