乳び胸

概説

  • 英名・略語:chylothrax
  • 胸腔内に乳びと呼ばれるリンパ液の貯留した状態を乳び胸という。
  • 胸腔内には末梢から運ばれてきたリンパ液の集束するリンパ管が存在する。このリンパ管が何らかの原因で破綻、閉塞すると、胸腔内にリンパ液が漏れ出て、乳び胸となる。
  • 乳び胸は、原因となる疾患が特定されれば治療できるが、特発性の場合、対症療法のみの治療となることがある。

原因・要因

  • 特発性
    乳び胸は原因を特定できないことが多々あるため、多くが特発性に分類される。

  • 先天性
    アフガンハウンドで確認されている。その他、柴犬、シャム、ヒマラヤンなどに多いとされている。

  • 外傷
    交通事故などにより、胸管が破裂すると、乳び胸となる。また、開胸術などの術後の合併症として乳び胸を発症することがある。

  • 腫瘍
    猫の胸腺型リンパ腫などの腫瘍によって、リンパ管が閉塞されると乳び胸を発症する。

  • 心疾患
  • 心臓周囲疾患
  • 犬糸状虫症
  • 肺葉捻転
  • 横隔膜ヘルニア
  • 静脈血栓症
  • 全身性リンパ管拡張症

統計

  • すべての年齢の犬、猫に生じうる。

細分類


病態

  • 急性の呼吸困難から発症することもあるが、ゆっくりと呼吸困難が進行する場合もある。
  • 呼吸が苦しくなると、嗜眠、食欲不振、体重減少などが認められるようになる。
  • 乳び胸が慢性化すると線維素性胸膜炎を合併する。

症状・徴候

  • 呼吸困難
  • 嗜眠
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 運動不耐性
  • 発咳

臨床検査

  • 胸水検査
  • レントゲン検査
  • エコー検査

診断

  • レントゲン検査などにより胸水を確認し、胸腔穿刺により採取された胸水より乳びを確認することで診断。

治療

  • 対症療法として、胸水を除去し、基礎疾患の治療を行う。
  • リンパ管漏出部位の特定ができれば、外科的に結紮を行うこともある。
  • 低脂肪食を食べさせることもある。
  • ベンゾピロン薬であるルチンの投薬をすることもある。
  • 状態によって利尿薬血管拡張薬ステロイド薬などの投薬が行われることがある。

予後

  • 適切な対症療法と基礎疾患の特定、治療が成功すれば、予後は良好である。
  • 多くが特発性であることを考慮に入れると、予後は悪いと考えられる。

合併症

  • 線維素性胸膜炎

関連薬


予防


カテゴリー


関連用語


関連文献(参考文献



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  • 最終更新:2011-11-23 18:36:53

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