レプトスピラ症
概説
- 英名・略語:canine leptospirosis
- 別名:ワイル病、秋疫、天竜熱、七日熱、波佐見熱、土佐熱、用水病、作州熱など
- レプトスピラと呼ばれる病原菌が、経口もしくは経皮的に感染して起こる感染症であり、届出伝染病に指定されている人獣共通感染症である。
病原
- スピロヘータ目、レプトスピラ科、レプトスピラ属に分類される病原菌によって引き起こされる
- 日本に常在するのは、icterohaemorrhagiae, canicola, autumnalis, hebdomadis, australis, pyogenesに分類される計6種類の血清型とされている。
- 宿主域は広く、ほぼ全哺乳類に感染すると考えられ、爬虫類や両生類にも感染している可能性がある。
分布・疫学
- 分布は世界的に認められ、日本国内にも発生が見られる。
- レプトスピラは、湿気の多い所を好み、用水路や土木作業のたまり水などに存在する。
- 感染は、レプトスピラの生息する水を飲んだり、傷口などから感染する。また、尿と一緒に排泄されたレプトスピラが空気中を飛散し、眼や鼻粘膜から侵入することもある。
- 自然宿主はネズミと考えられている。
症状
- 発熱、激しい消化器症状や腎障害、肝障害などが認められる。
- 消化器症状
- 嘔吐
- 下痢(粘血便、タール便)
- 食欲廃絶
- 激しい腹痛、背弯姿勢
- 腎障害
- 多飲多尿
- 乏尿もしくは無尿
- 肝障害
- 出血傾向(鼻出血など)
- 黄疸
- その他
- 呼吸困難
- 起立不応
- 死亡
治療・予防法
<治療>
- レプトスピラに対する原因療法として抗菌薬の治療を行い、その他消化器症状、肝障害、腎障害に対して対症療法を行う。
- 抗菌薬による治療
- ドキシサイクリン5mg/kg/q12h(PO)の用量で14日間投与。
<予防>
- 犬ではワクチンが用いられている(血清型icterohaemorrhagiae, canicola, hebdomadis)。
- その他、レプトスピラは湿潤な環境を好むため、水田、湿地帯、小川などの水を飲んだりしないように注意する。
- また、レプトスピラはpHがアルカリ性である草食動物の尿中で比較的長期間生存できるため、牛などの尿に注意する。
関連薬
関連用語
関連文献
- 日本における犬のレプトスピラ症(分子生物学的および血清学的調査)
Molecular and serological investigation of Leptospira and leptospirosis in dogs in Japan., J Med Microbiol. 2012 Dec 21. , Koizumi N, Muto MM, Akachi S, Okano S, Yamamoto S, Horikawa K, Harada S, Funatsumaru S, Ohnishi M. - 健康な犬における全血リアルタイムPCR検査に対するレプトスピラワクチン接種後の影響
Effects of Recent Leptospira Vaccination on Whole Blood Real-Time PCR Testing in Healthy Client-Owned Dogs., J Vet Intern Med. 2011 Dec 19. , Midence JN, Leutenegger CM, Chandler AM, Goldstein RE. - 2010 ACVIM Small Animal Consensus Statement on Leptospirosis: Diagnosis, Epidemiology, Treatment, and Prevention. , J Vet Intern Med. 2011 Jan-Feb;25(1):1-13. , J E Sykes; K Hartmann; K F Lunn; G E Moore; R A Stoddard; R E Goldstein
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