リンパ腫の予後因子

概説

  • リンパ腫の予後と関連する臨床所見や検査結果に対し、多数の研究がなされている。現在も検討されている内容であるため、一般的な項目のみ記載する。

  • 体重
    体重10kg未満の犬よりも体重10kg以上の犬の方が予後が良いという報告がある。

  • 臨床ステージ(リンパ腫の臨床ステージ分類も参照)
    臨床ステージⅠ、Ⅱ、Ⅲに比べてⅣ、Ⅴは寛解期間が短く、生存期間も短いとする報告がある。また、サブステージaはサブステージbよりも生存期間が長いと報告されている。

  • 腫瘍細胞の表現型(リンパ腫の表現型も参照)
    リンパ腫細胞の表面に存在するマーカーの検査や、遺伝子検査を行うことで、腫瘍細胞がT細胞由来か、B細胞由来かを判定することができる。T細胞由来のリンパ腫はB細胞由来のリンパ腫に比べて明らかに予後が悪く、化学療法に対する反応性も悪いことが知られている。

  • 前縦隔腫瘤の存在
    犬において、前縦隔部に腫瘤が存在する場合に、生存期間が短いと報告されている。前縦隔部に腫瘤を形成するリンパ腫はT細胞型が多いためとも考えられるが、B細胞性の多中心型リンパ腫において胸腺腫瘤を伴うものも生存期間が短いことが報告されている。

  • 消化器型リンパ腫
    犬において消火器型のリンパ腫は化学療法の反応が悪く、生存期間が短い。

  • 他剤耐性タンパク質の存在
    MDR1遺伝子にコードされる細胞膜タンパクであるgp170が発現しているものは、そうでないものに比べて寛解期間、生存期間が短いと報告されている。

  • ステロイド薬の投与歴
    グルココルチコイド製剤を多剤併用療法前に投与している場合、投与していない場合よりも寛解期間、生存期間が短いと報告されている。そのため、多剤併用療法を行う予定の動物に対してはステロイド薬を投与しないほうがいいと考えられている。

  • PCV
    診断時のPCVが35%以上の犬の方が予後が良いという報告がある。

  • 高カルシウム血症の有無
    高カルシウム血症のあるリンパ腫は、前縦隔部に腫瘤を形成することが多く、また、T細胞由来であることが多いため、生存期間が短いと考えられている。

関連用語


関連文献

  • ハイグレード多中心型リンパ腫の犬における長期生存予測因子
    Predictors of long-term survival in dogs with high-grade multicentric lymphoma., J Am Vet Med Assoc. 2011 Feb 15;238(4):480-5., Marconato L, Stefanello D, Valenti P, Bonfanti U, Comazzi S, Roccabianca P, Caniatti M, Romanelli G, Massari F, Zini E.


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  • 最終更新:2011-12-19 18:18:22

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