ボルバキア
概説
- 英名:Wolbachia
- 犬糸状虫を含むフィラリア線虫に寄生する偏性細胞内寄生性グラム陰性菌。リケッチア目に分類されている。ボルバキアにより、フィラリアの抗原性や生殖が制御されていると考えられている。
- 犬糸状虫内に寄生するボルバキア表面にはWSPというタンパク質が存在する。
- WSPは肺や腎臓の炎症に関与していると考えられているため、犬糸状虫症の動物に対してボルバキア駆虫を同時に行うことで副反応や炎症反応を軽減する必要があると考えられている。
- 特にメラルソミンなどで成虫駆虫を行う際には事前にボルバキア駆虫を行ったうえで成虫駆虫を行うことで、副反応を抑えることができると証明されている。
- また、イベルメクチン長期投与などによりフィラリア成虫駆除を行う場合においても、ボルバキア駆虫をすることで、フィラリア線虫による病原性を低減させたり、ミクロフィラリアを減数させる効果があるため使用が推奨されている。
形態
性状
- グラム陰性
- 偏性細胞内寄生性
ボルバキアが引き起こす問題
- ボルバキアの表面に存在するタンパク質(WSP)が犬に対するIgG誘導作用があることがわかっている。そのため、肺、腎における炎症反応に関与していると考えられている。
主な感受性抗生物質
- ドキシサイクリン
- フィラリア成虫駆虫を行う場合は駆虫薬投与前にドキシサイクリンを4週間投与する。
- フィラリア予防薬による駆虫を行う場合は、3~4ヶ月ごとにドキシサイクリンを4週間投与する。
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関連用語
文献(参考文献)
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- 最終更新:2013-07-11 06:07:20