ベナゼプリル
成分概要・作用機序
- 英名:Benazepril
- 別名:塩酸ベナゼプリル
- ACEIの一種であり、慢性心疾患、慢性腎疾患、高血圧などに広く用いられている。特に僧帽弁閉鎖不全症などの慢性心疾患では第一選択薬として用いられている。日本では、心疾患、腎疾患で認可が下りており、製品であるフォルテコールはフレーバー錠であるため、比較的与えやすい。
- 作用機序はアンギオテンシン変換酵素を阻害することでアンギオテンシンⅡの産生を抑制し、血管拡張、心拍数の低下などを行う。
- また、アルドステロン分泌低下作用もあるため、利尿効果がある。
- さらに、腎糸球体の輸出細動脈を拡張し、糸球体高血圧を抑制する。
- 以上の効果からうっ血性心不全の後負荷軽減、慢性腎臓病の病態悪化を抑制する目的で使用する。
カテゴリー
主に使用される疾病
- 慢性心疾患
- 慢性腎疾患
- 高血圧
主な薬品名
薬品名 | 剤型 | 成分量 |
---|---|---|
フォルテコール | 錠剤 (バニラフレーバー) |
2.5mg/錠 |
錠剤 (ビーフフレーバー) |
5mg/錠 |
投与量・投与目的
- 慢性心疾患
- 犬:0.25-0.5mg/kg/SID-BID (p.o.)
- 猫:0.25-0.5mg/kg/SID-BID (p.o.)
- 慢性腎疾患
- 犬:0.5mg/kg/SID(p.o.)
- 猫:0.25-0.5mg/kg/SID-BID (p.o.)
副作用
- 嘔吐
- 下痢
- 低血圧
薬物相互作用
- 利尿薬と併用することで低血圧を引きこす可能性がある。
- カリウム保持性利尿薬やカリウム製剤と併用することで高カリウム血症を引き起こす可能性がある。
- インスリン製剤と併用することで高血糖を誘発する可能性がある。
主な注意事項
- 心臓薬の一般的な注意事項
- 脱水傾向にある動物に使用すると、腎不全が悪化する可能性がある。
関連文献(参考文献)
- 軽度変性性僧帽弁疾患を有する犬におけるピモベンダンおよびベナゼプリル単独投与による心臓有害作用の比較
Comparative adverse cardiac effects of pimobendan and benazepril monotherapy in dogs with mild degenerative mitral valve disease: a prospective, controlled, blinded, and randomized study., J Vet Intern Med. 2007 Jul-Aug;21(4):742-53. , Chetboul V, Lefebvre HP, Sampedrano CC, Gouni V, Saponaro V, Serres F, Concordet D, Nicolle AP, Pouchelon JL. - 猫の慢性腎臓病における予後因子
Prognostic factors in cats with chronic kidney disease, J Vet Intern Med. 2007 Sep-Oct;21(5):906-16., Jonathan N King, Severine Tasker, Danielle A Gunn-Moore, Gunther Strehlau, BENRIC (benazepril in renal insufficiency in cats) Study Group - 後天性房室弁膜疾患の犬に対するピモベンダンおよびベナゼプリルによる治療の臨床効果
Clinical efficacy of pimobendan versus benazepril for the treatment of acquired atrioventricular valvular disease in dogs., J Am Anim Hosp Assoc. 2006 Jul-Aug;42(4):249-61. , Lombard CW, Jons O, Bussadori CM.
関連用語
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