ステロイド薬の臨床応用

概説

  • ステロイド薬の臨床応用は多岐にわたるため、以下にいくつか臨床応用をまとめる。

循環器疾患

  • 慢性心臓疾患の末期における頑固な発咳を改善させる目的で使用されることが多い。目的として、肺胞膜の安定性を増加させる、アレルギー性または炎症性気道病変を改善させることが挙げられる。

呼吸器疾患

  • 喘息、アレルギー性気管支炎などの気道疾患に対し、ステロイド薬が有効に作用することがある。また、気道拡張作用もあると考えられている。
  • 気管虚脱による症状を軽減する目的で使用されることがある。

消化器疾患


肝臓・胆道・膵外分泌疾患

  • 慢性肝炎などの炎症性肝疾患に対し、抗炎症目的でステロイド薬を使用することがある。
  • 猫の慢性膵炎に対し、ステロイド薬を用いることで炎症の緩和、症状の改善が認められることがある。

泌尿器疾患


口腔内疾患

  • 猫における口内炎に対し、ステロイド薬が有効である場合がある。

眼科疾患

  • 点眼にて結膜炎、強膜炎、角膜炎、ブドウ膜炎に対して有効とされている。ただし、感染性の炎症に対しては増悪する可能性があるため注意が必要である。
  • ステロイド薬は角膜上皮の再生を遅らせるため、角膜潰瘍などの角膜再生を促す必要のある疾患については注意が必要である。

耳の病気

  • 外耳炎の悪化要因が炎症そのものである場合、ステロイド薬の積極的使用が推奨される。

内分泌疾患


皮膚疾患

  • 皮膚に発生する自己免疫疾患に使用される。
  • アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー疾患に対し、短期的または長期的にステロイド薬を投与する治療法が行われている。
  • 天疱瘡、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患に対しては、積極的なステロイド薬または免疫抑制薬の使用が行われている。

繁殖障害


神経・筋疾患

  • 脳浮腫の軽減、フリーラジカルからの保護、脳脊髄液の産生減少による頭蓋内圧下降作用などを目的に各種中枢神経疾患に対してステロイド薬を用いている。
  • 椎間板ヘルニアや脊髄梗塞などの脊髄疾患にも使用されることがある。
  • 肉芽腫性髄膜脳炎などの炎症性脳疾患に対して使用されることがある。
  • 水頭症の症状軽減を目的に使用されることがある。

骨・関節疾患


腫瘍

  • リンパ腫肥満細胞腫や骨髄由来細胞腫瘍に対して、殺腫瘍効果が認められているため、他の抗腫瘍薬と併用で使用される。
  • 脳腫瘍による脳浮腫や神経症状の軽減を目的に使用される。
  • インスリノーマにおける血中インスリン感受性低下を目的に使用される。

血液・免疫疾患

  • 免疫介在性溶血性貧血、免疫介在性血小板減少症などの免疫介在性疾患に対して使用される。

感染症

  • 猫伝染性腹膜炎において、炎症反応による症状を緩和する目的で用いられる。

中毒


救急疾患

  • 敗血症性ショックなどのショックに対し、デキサメサゾンなどが用いられることがある。
  • 胃拡張胃捻転症候群のショックに対し、使用されることがある。

代謝・電解質異常


その他の疾患

  • 食欲刺激を目的として使用されることがある。

関連用語


関連文献

  • Critical illness-related corticosteroid insufficiency in small animals. Vet Clin North Am Small Anim Pract. July 2011;41(4):767-82. , Linda G Martin


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  • 最終更新:2014-04-30 07:18:32

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