ステロイド薬の副作用
概説
多飲多尿、多食
- ステロイド薬による代表的な副作用。
- 排尿量が上昇するため、多渇、多飲傾向になる。
- また、ステロイド薬には食欲増進作用があるため、多食傾向になる。
易感染性
- ステロイド薬は用量依存性に免疫抑制効果が認められるため、特に免疫抑制量でのステロイド薬投与は、慎重におこなわれる必要がある。
行動の変化
- 神経質、過敏性の増加、活動レベルの低下などが報告されている。
消化器系
- COX阻害作用により、胃粘液の低下が予想されるため、胃潰瘍、胃出血、嘔吐、下痢などの消化器症状が現れることがある。
- 急性膵炎を発症することがある。
心血管系
- ノルエピネフリンやアンギオテンシンⅡなどの血管収縮物質の作用を増強することで、血圧上昇を生じる可能性がある。
- カリクレイン-キニン系やプロスタグランジン系、NOなどの降圧システムの活性を低下させるため、血圧上昇を生じる可能性がある。
糖尿病
- 合成ステロイドは糖新生を促し、末梢における糖利用を抑制することで血糖値を上昇させると考えられている。
- 末梢細胞におけるインスリン感受性を低下させるため、糖尿病患者における血糖値コントロールが難しくなると考えられている。
医原性クッシング
- グルココルチコイドを製剤化したものであるステロイド薬の投与を行えば、当然体内のグルココルチコイド濃度が上昇した状態と同じ臨床症状を示すことになる。そのため、医原性クッシング(副腎皮質機能亢進症と同じような症状)が現れることがある。
骨格筋系
- 骨格筋の筋力低下、萎縮が生じると考えられている。
皮膚
- 表皮の菲薄化、脱毛がみられることがある。
- 膿皮症、皮膚糸状菌症などの感染症の悪化がみられることがある。
肝障害
- 肝細胞への脂肪、グリコ-ゲン、水分の蓄積を促進するため、肝細胞腫大を生じ、肝肥大を引き起こす。
- 各種肝酵素値、コレステロールの変化が認められるため、肝機能も変化していると考えられる。
リバウンド
- 長期的にステロイド薬を投与している状態で、急なステロイド薬の休薬を行うと、ステロイド離脱症候群に陥ることがある。
電解質の変化
その他
- 動作緩慢、パンティングなどの症状が現れることがある。
- 食欲増進効果があるため、体重が増加する。
関連用語
関連文献
- Possible behavioral effects of exogenous corticosteroids on dog behavior: a preliminary investigation, J Vet Behav. November/December 2011;6(6):321-327., Lorella Notari; Daniel Mills
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- 最終更新:2014-04-30 07:17:47