シクロスポリン

概要・作用機序

  • 英名:Cyclosporine(CsA)
  • 別名:サイクロスポリン
  • シクロスポリンは土壌真菌の一種であるTolypocladium infatumから分離されたポリペプチドである。
  • ヒトにおいて、臓器移植、自己免疫疾患、喘息、アトピー性皮膚炎などの疾病で使用されており、同様に犬、猫でも免疫介在性疾病に多く取り入れられている。日本では2005年からアトピカという薬品名で認可され、現在も臨床現場で研究が進んでいる。
  • 主な作用機序はIL-2の遺伝子活性およびメッセンジャーRNAの転写を抑制することで、Tリンパ球の増殖を阻害する。また、カルシウム介在性シグナル伝達を抑制することで、IgE介在性即時型過敏症および遅延型過敏症を抑制すると考えられている。
  • その他、肥満細胞の活性化阻害(ヒスタミンの放出阻害、サイトカインの産生阻害)、好酸球の活性化阻害、表皮ランゲルハンス細胞のリンパ球活性化機能障害、ケラチノサイトからのサイトカイン産生阻害、腫瘍壊死因子によって起こされる遅延型アレルギー反応の阻害などの作用があるとされている。
  • 投薬開始から効果発現まで3週間近くかかることと、やや高価であることが難点である。

カテゴリー


主に使用される疾病


主な薬品名・成分量

薬品名 剤型 成分量
アトピカ カプセル 10mg/c
25mg/c
50mg/c
100mg/c
サンディミュン カプセル 25mg/c
50mg/c
液体 100mg/ml
シクロキャップ カプセル 25mg/c
50mg/c
ネオーラル カプセル 10mg/c
25mg/c
50mg/c
液体 100mg/ml
アマドラ カプセル 10mg/c
25mg/c
50mg/c
シクポラール カプセル 10mg/c
25mg/c
50mg/c
オプティミューン眼軟膏 眼軟膏 2mg/g(0.2%)

投与量・投与目的

  • 免疫介在性疾患、アトピー性皮膚炎など
    • 犬:5-20mg/kg, SID or BID(p.o.)
    • 猫:5-10mg/kg, SID(p.o.)


  • 猫喘息、好酸球性肉芽腫症候群など
    • 猫:5-10mg/kg, SID(p.o.)

  • 猫アレルギー性皮膚炎
    • 3.6-8.3mg/kg, sid(p.o.)
    • 7mg/kg, sid(p.o.)

  • 歯肉口内炎
    • 猫:2.0mg/kg/bid(徐々に漸減)

副作用

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 細菌尿
  • 細菌性皮膚感染症
  • 食欲不振
  • 腎障害(ヒト)
  • 肝障害(ヒト)
  • 肝リピドーシス(猫)
  • 多毛症
  • 歯肉過形成
  • 乳頭腫症
  • リンパ球プラズマ細胞性皮膚症
  • 皮膚における悪性腫瘍発症リスク上昇(ヒト)

薬物相互作用

  • ACEIと併用すると腎機能が減少する可能性がある。
  • ジゴキシンと併用することでジゴキシン血中レベルを増加させる可能性がある。
  • メルファランと併用することで腎不全のリスクが増加する。
  • メトトレキセートの血中濃度を増加させる可能性がある。

主な注意事項

  • 食間に服用することで嘔吐が発現しやすくなる。
  • 肝臓のチトクロームP-450酵素で代謝されるため、これらを阻害する薬剤により、シクロスポリンの血中濃度の上昇が考えられる。
  • 免疫抑制薬であるため、ワクチン接種には注意が必要である。
  • 内服、外用のどちらも効果発現に3週間ほど必要。

関連文献

  • アトピー性皮膚炎の犬における新規局所シクロスポリンA製剤の効果
    Efficacy of a new topical cyclosporine A formulation in the treatment of atopic dermatitis in dogs., Vet J. 2013 Aug;197(2):280-5. doi: 10.1016/j.tvjl.2013.02.018. Epub 2013 Apr 4., Puigdemont A, Brazis P, Ordeix L, Dalmau A, Fuertes E, Olivar A, Perez C, Ravera I.
  • 猫過敏性皮膚炎におけるシクロスポリン投与量に対する臨床効果の評価(ランダム化二重盲検プラセボ対照試験)
    A randomized double-blinded placebo-controlled study to evaluate an effective ciclosporin dose for the treatment of feline hypersensitivity dermatitis., Vet Dermatol. 2012 Oct;23(5):440-e84. , King S, Favrot C, Messinger L, Nuttall T, Steffan J, Forster S, Seewald W.
  • アレルギー性皮膚炎の猫におけるシクロスポリン投与による副作用
    Adverse events in 50 cats with allergic dermatitis receiving ciclosporin., Vet Dermatol. December 2011;22(6):511-20., Nicole A Heinrich; Patrick J McKeever; Melissa C Eisenschenk
  • 1.5%シクロスポリンの局所投与による増殖性猫好酸球性角膜炎の治療
    Treatment of proliferative feline eosinophilic keratitis with topical 1.5% cyclosporine: 35 cases.Amelie K Spiess, John S Sapienza, Aloma Mayordomo, Vet Ophthalmol. 2009 Mar-Apr;12(2):132-7.
  • 犬のアトピー性皮膚炎に対するシクロスポリン使用の効果および安全性について、系統的レビューおよびメタ解析
    A systematic review and meta-analysis of the efficacy and safety of cyclosporin for the treatment of atopic dermatitis in dogs., Steffan, J., et al., Vet Derm, 2006.17(1)
  • Olivry, T., et al., Evidence-based veterinary dermatology ;a systematic review of the parmacotherapy of canine atopic dermatitis. Vet Dermatol, 2003(10)
  • Administration of cyclosporin A to cats with allergic dermatitis: improvement of clinical signs and decrease of peripheral eosinophils in an open pilot study., Nakazato, A., et al. in Nt Am Vet Derm Forum. 2006
  • Prospective open pilot study on the use of ciclosporin for feline allergic skin disease. Noli C, Scarampella F. J Small Anim Pract. 2006 Aug;47(8):434-8.

関連用語



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  • 最終更新:2013-11-12 06:58:34

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