インスリノーマ

概説

  • 英名・略語:insulinoma
  • 別名:インスリン分泌性β細胞腫瘍
  • インスリノーマは膵臓のβ細胞の腫瘍性変化によるインスリン過剰分泌を特徴とする疾患。
  • インスリン過剰による低血糖性発作以外には特徴的な症状に乏しく、また腫瘍が小さいうちから臨床症状が現れるため、発見が難しい腫瘍である。
  • 臨床徴候はインスリン過剰が最も関与しているが、実際にはインスリン以外にもポリペプチド、ソマトスタチン、グルカゴン、セロトニン、ガストリンなどの様々なホルモンが過剰に分泌されていると考えられている。
  • 猫より犬で多く発生するが、どちらもあまり一般的ではない。
  • ヒトではほとんどが良性であるが、犬のインスリノーマはほとんどが悪性であり、発見された時点で転移を疑うべきと考えられている。

原因・要因

  • 原因は不明であるが、スタンダード・プードル、ボクサー、フォックス・テリア、ジャーマン・シェパード、アイリッシュ・セッターで発生が指摘されている。

臨床検査

  • 血液検査
    • インスリン濃度
    • 血糖値
    • フルクトサミン濃度
  • CT
  • 超音波検査

治療

  • 外科的治療
 手術による腫瘍組織の摘出が診断・治療の両面から見て適切であり、数週間から数ヶ月間の内科的反応がよくなるという利点もある。また、腫瘍がすでに転移してしまっていても、可能な限り腫瘍組織を取り除くことで症状の緩和が期待できる。
 しかし、複数のホルモンバランスが崩れている影響で、術中の反応が予想しにくいため、麻酔のリスクはかなり高いと考えられる。
  • 内科的治療
    • 食餌療法
 少量頻回投与にて食事を食べてもらうことが第一である。可能な限りドライフードまたは缶詰フードを与えることが望ましく、1日に4~6回、またはそれ以上の回数に分け、投与する。
    • グルコース製剤の投与
 低血糖の症状が現れている際には、グルコース製剤やブドウ糖入りシロップなどを与える。
 プレドニゾロンなどのステロイド薬は、インスリン感受性を低下させ、低血糖を予防することができる。医原性クッシングによる副作用のリスクと、本疾患による低血糖のリスクを天秤にかけ、治療を行うことになる。
    • ジアゾキシド
 経口投与することでインスリンの分泌を抑制することができる薬である。プレドニゾロンのみではコントロールできない場合などに投与を行うことがある。
    • オクトレオチド
 持続型のソマトスタチン誘導体であり、インスリンの合成・分泌を抑制する。長期的に使用すると効果がなくなる欠点がある。
    • ストレプトゾトシン
 抗腫瘍薬の一種であり、膵臓のβ細胞を選択的に破壊する。ヒトでは手術不可能なインスリノーマの症例に用いられている。
  • 緊急治療
 低血糖に対して、緊急治療がおこなわれる。ブドウ糖シロップをなめさせたり、グルコース溶液の静脈点滴がおこなわれる。
 改善しない場合には、グルカゴンの点滴静注を行うこともある。


関連薬


カテゴリー


関連用語


関連文献



※注意事項
  • この記録はは専門書・学会・臨床経験を参考に作られた資料です。
  • 可能な限り、最新情報、文献に基づいた資料作りをしていく予定ですが、実際の使用方法については各々の責任において判断してください。
  • 獣医師ひとりひとり、考え方、技量は異なり、すべての臨床の場での適応を推奨するものでは絶対にありません
  • 動物医療の場では、薬剤は犬用、猫用もまれにありますが、殆どが人用の薬剤の応用です。ここに記載されている効能、効果、用法、用量、使用禁止期間など一部、すべては日本では承認されていない情報であることをあらかじめ、ご了承ください
  • 獣医師・オーナーさんがこの記録を参考にされることはかまいませんが、成果の責任は各自の自己責任にてお願い致します
  • 現在治療されている動物病院での処方内容についての疑問点は、各動物病院に詳細をおたずね下さい
  • また、このページからの薬の販売、郵送は出来ませんので、ご了承下さい。
  • 記載内容の間違い等ございましたら、ご意見・ご要望ページからお願いします。
 ※2009年より順次更新中です。ページによってはまだ空白のものもあますが、今後徐々に改定していく予定です。


  • 最終更新:2011-09-12 10:30:31

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード