アセトアミノフェン中毒

概説

  • 英名・略語:Acetaminophen Toxicoses
  • ヒト用の風邪薬などに含まれる成分であるアセトアミノフェンを多量に服用することで発症する中毒。アセトアミノフェンは非ステロイド系消炎鎮痛薬の一種であるが、犬、猫やその他の動物には有害であり、特に猫においては重度の肝障害、赤血球異常を呈し、死に至ることがある。

中毒物質・中毒量


病態

  • アセトアミノフェンはグルクロン酸抱合、硫酸抱合、チトクロームP450によって代謝される。多くはグルクロン酸抱合、硫酸抱合によって代謝される。
  • グルクロン酸抱合能のない猫や、多量に服用した場合などでは、チトクロームP450によっても代謝される。しかし、チトクロームP450によって代謝されたアセトアミノフェンは、毒性の強いNAPQI(N-acetyl-p-benzoquinone imine)へと代謝されるため、肝細胞壊死や、赤血球の崩壊を招く。
  • 犬は肝臓への障害が強く、猫は赤血球への障害が強い傾向にある。

症状・徴候

    • 沈うつ
    • 嘔吐
    • 腹痛
    • 黒色尿
    • 死亡

    • 食欲廃絶
    • 流涎
    • 嘔吐
    • チアノーゼ
    • 粘膜蒼白
    • 顔面浮腫
    • 低体温
    • 死亡

臨床検査

  • メトヘモグロビン血症
  • メトヘモグロビン尿症
  • ハインツ小体性貧血
  • ALT上昇、ALP上昇
  • 総ビリルビン値の上昇
  • 代謝性アシドーシス
  • 血清アセトアミノフェン濃度の上昇

診断

  • 病歴により疑い、症状、血液検査所見をあわせて診断。

治療

<解毒>
  • N-アセチルシステインが解毒薬として有用。
  • アセトアミノフェンの代謝産物であるNAPQIは細胞内にあるグルタチオンによって解毒されるが、中毒動物ではグルタチオンが枯渇してしまう。グルタチオンは細胞内へ取り込まれにくい物質であるため、前駆物質であるN-アセチルシステインを投与することにより、解毒を促進させる。
  • 経口投与する際には活性炭と同時投与できないことに注意する。

<対症療法>
  • 輸液
    グルコースを含む輸液を行い、積極的に中毒物質の排泄を促す。

  • 催吐、胃洗浄、活性炭製剤の投与、下剤の投与
    中毒物質暴露後4時間以内であれば、積極的な催吐が支持される。可能であれば、胃洗浄を行い、活性炭製剤や下剤の投与を行う。活性炭製剤はその後も数時間おきに投与する。

  • アスコルビン酸の投与
    中毒物質であるNAPQIは、強力な酸化作用があるため、抗酸化作用のあるアスコルビン酸を投与する。

  • シメチジンの投与
    中毒物質であるNAPQIはチトクロームP450の代謝経路によって産生される。そのため、同じ代謝経路を持つシメチジンによってチトクロームP450を占有させ、中毒物質の発生を妨げる。

  • 酸素吸入
    赤血球破壊が重度である場合、呼吸状態を安定化させるために有用。

  • 重炭酸ナトリウムの投与
    代謝性アシドーシスが確認された場合、投与。

  • 輸血
    中毒物質による赤血球破壊が重度である場合、考慮する必要がある。

<禁忌>

関連薬


予後

  • ネコは非常に予後が悪い。
  • イヌも重症化する可能性がある。
  • 48-72時間以内に治療への反応性がみられない場合、予後不良。

予防

  • 人薬を動物の手の届くところに置かない。

カテゴリー


関連用語


関連文献(参考文献



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  • 最終更新:2012-02-22 17:14:03

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