プレドニゾロン

概要・作用機序

  • 英名:prednisolone
  • 略語:Pre, P
  • 生体内に存在し、ストレス負荷時に副腎より分泌される副腎皮質ホルモンは、様々な薬理作用を示すため、これを臨床で応用した薬がステロイド薬である。プレドニゾロンはこのステロイド薬の一種であり、人および動物の医療において広く利用されている。
  • ステロイド薬の作用機序、薬理作用は多岐にわたり、大まかに糖代謝作用、脂質代謝作用、タンパク質代謝作用、抗炎症作用、免疫抑制作用、抗アレルギー作用、血液細胞へ影響、中枢神経に対する作用などに分類される。
  • 投与量によって効果は様々であり、目的に応じて投与量を増減する必要がある。
  • 猫はステロイド薬に対して比較的抵抗性をしめすため、副作用が発現しにくい傾向にある。

カテゴリー


主な薬品名・内容量

薬品名 剤型 成分量
プレドニン 錠剤 5mg/錠
プレロン 錠剤 1mg/錠
2.5mg/錠
5mg/錠
プレドハン 錠剤 2.5mg/錠
プレドニゾロン(薬品) 錠剤 1mg/錠
2.5mg/錠
5mg/錠

投与量・投与目的

目的によってによって投与量が異なる。
  • 抗炎症作用
    • 犬:0.5-1mg/kg (s.c, p.o.)
    • 猫:0.5-1mg/kg(s.c. p.o.)
  • 免疫抑制作用
    • 犬、猫:2-4mg/kg(s.c. p.o.)
  • 抗腫瘍薬
    • 犬、猫:1-2mg/kg(s.c., p.o.)
症例によっては4mg/kg使用することもある。

副作用

副作用はステロイド薬一般に認められるものである。

薬物相互作用

  • 高用量ステロイドの投与でCYP3Aを誘導するため、CYP3Aによって分解される薬物の効果が減弱する可能性がある。
  • 低用量デキサメサゾンによりCYP3Aを抑制する可能性があるため、CYP3Aによって分解される薬物を投与する際には注意が必要である。

主な注意事項

  • 長期投与時における休薬は漸減する必要がある
  • 注意が必要なケースとして全身性真菌感染症、活動性細菌感染症、角膜潰瘍、副腎皮質機能亢進症糖尿病、血栓性静脈炎、高血圧、慢性心不全、腎機能不全などがある。

関連文献(参考文献

  • 甲状腺機能低下症の犬の甲状腺ホルモンモニタリングにおける抗炎症量プレドニゾロンの影響
    Effect of an anti-inflammatory dose of prednisone on thyroid hormone monitoring in hypothyroid dogs. , Vet Dermatol. April 2011;22(2):202-5. , Sarah H O'Neill; Linda A Frank; Lisa M Reynolds
  • 原因がはっきりしない犬の髄膜脳脊髄炎におけるアザチオプリン、プレドニゾロンの併用療法の評価
    Evaluation of treatment with a combination of azathioprine and prednisone in dogs with meningoencephalomyelitis of undetermined etiology: 40 cases (2000-2007)., J Am Vet Med Assoc. 2010 Oct 15;237(8):929-35., Wong MA, Hopkins AL, Meeks JC, Clarke JD.
  • 猫のデキサメサゾンとプレドニゾロンの糖尿病原性についての比較研究
    Lowe AD, Graves TK, Campbell KL, Schaeffer DJ. A pilot study comparing the diabetogenic effects of dexamethasone and prednisolone in cats. J Am Anim Hosp Assoc. 2009 Sep-Oct;45(5):215-24.

写真

プレドニゾロン注
プレロン1mg.jpg

関連用語



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  • 最終更新:2014-04-30 07:19:39

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